ねぇ、目の前にいるあなた



幻なんかじゃないよね?








「お前の好き勝手にはさせん!!」

まだ目覚めていないマイクロンたちが、マトリクスに引き寄せられるように集まって。
パァっと目の前が白くなったのを覚えている。
不安とか、怖いとかそんなこと感じなかった。
ただただその光はとても優しく、温かかった。
そして光の向こうから聞こえる、もう聞くことは出来ないと思った声がしたんだ。
力強く、迷いの無い声が。

そしてあなたが現れたんだ。

ああ、神様。
何かの悪い冗談ですか?
あの人の幻を見せて、何が楽しいの?

嘘だと思った。
幻だと思った。

でも・・・・嬉しかったんだ。

基地に戻って、司令室をこっそり覗いてみる。
そこにはコンボイ司令官の姿があって。
今更になって、帰ってきてくれたんだと喜びがわいてきた。

「ホットロッド?」

コンボイは司令室の入り口からの視線に気がつき、声をかける。
傍にいたラチェットも、つられてそちらを向いた。
コンボイはラチェットに何か言うと、ホットロッドにこちらに来るように手招きする。
ホットロッドは渋々中に入る。
入れ違いにラチェットが出て行った。

特に会話もなく、ただ沈黙だけが二人を包む。

「あの、・・・司令官」

沈黙に耐えかねて、ホットロッドが声をかけた。

「何だ?」
「あの・・・その・・・・・おかえりなさい」

言葉が見つからず、そういえばまだ言っていなかったと思いそう言った。
コンボイはじっとホットロッドを見る。
そしてフッっとキレイに笑った。

「ただいま、ホットロッド」

その言葉はまるで魔法のように、ホットロッドを包み込んだ。
目じりが熱くなってくる。

「ごめんなさい、司令官・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・ごめんなさっ・・・」

呪文のように繰り返される謝罪の言葉。
ずっと言いたかった。

酷いこと言ってごめんなさい。

八つ当たりしてごめんなさい。

マトリクス受け取れなくてごめんなさい。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

ごめん、なさい。


「もういいんだ、ホットロッド・・・辛い目に合わせてしまったな・・・」

コンボイはそう言うと、そっと涙をぬぐってやる。

ああ、どうして。
どうして貴方は何でも許してしまうのだろう。
自分が悪いのに、どうして貴方が謝るの?

コンボイはなだめるようにホットロッドの背中を擦る。

「私はね、お前なら乗り越えてくれると思ったんだよ」

本当は、心配だった。
自分が死んだら、残した仲間はどうなってしまうのだろう。
マイクロンを無事救出してくれるのだろうか・・・・
デストロンと対等に戦えるのだろうか・・・・
そんなことを思ってしまった自分がいた。
信じてないわけじゃない。
でも・・・・・・・
そんな時、ふとホットロッドの顔が浮かんだ。
彼なら、自分の死を乗り越えてくれるだろう。
彼になら、皆迷わずついていってくれるだろう。
私の意志をついでくれるだろう。
彼は誰よりも優しいから、もしかしたら1番自分の死を嘆いてくれるかもしれない。
でも、大丈夫。
きっと他の仲間が彼に正しい道を気づかせてくれる。
デバスターあたりが殴りだしそうだが。

「私は勝手に、お前に自分の意志を擦り付けたんだ・・・だから、謝ることなんてないんだよ」
「そんな、擦り付けたなんて思ってないよ!俺が、俺が勝手に貴方の意志をついだんだ!」

ホットロッドは必死にコンボイの言うことを否定する。
彼が自分を責めてるとこなど見たくなかったから。

「ホットロッド、本当の戦いはこれからだ・・・共に皆を導いてくれないか?」

ひどく真剣に、静にそう言われた。

「はい!」

元気のいい返事が返ってきて、コンボイはふんわりと笑った。

多分、これからもっと苦しい戦いが待っているのだろう。
でも、もう迷わない。
ゆっくりでいい、1つずつ、1つずつ未来への階段を上っていこう。
登り終えた先に、皆が笑っていられるような平和を手に入れよう。
大丈夫だよ。
必ず願いは叶う。
だって








ーー咲かない花は無いのだからーー








END




どうよ、これ・・・
M伝司令官おかえりなさい祭り第一弾がこれ・・・
これってば、我がサイトの「混沌」のその後みたいな感じなんだよね〜
やっと謝れたロッドくん
彼には一回りも2回りも大きくなって頂きたいのです。
っていうか・・・
これってコンロッド?



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